創造的復興:視点構築論2・第4回講義は高等学校美術教員の赤城修司さんをお招きして「僕の見た福島」というタイトルでお話を伺いました。
東日本大震災直後から撮り続けている写真と福島市の様子を中心にお話いただきました。福島第一原発から64kmに位置する福島市は、放射線量が高いこともあり様々な場所で除染作業が行われています。赤城さんの写真の中には、通勤や通学をする人々の真横で除染作業がおこなわれている様子がたくさん収められていました。
震災以降、周りも赤城さん自身も「思いやり隠蔽」をおこなっているとお話されました。誰かに申し訳ないと、本音を語れずにいる、市民一人一人が何となくやっていることだけれども、それらを全て発信しようと思った。と、語る赤城さんの講義は「伝える」方法や意味を考えてゆくヒントになると感じました。(赤木)
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いわき視察
4月25日に福島県浜通り方面の視察を実施しました。
東日本大震災と福島第一原発事故から4年を経た現地で実際に生活を送る方々からお話を伺うことを目的として企画し、学生24名・教職員8名が参加しました。
最初に訪問した富岡町では、同町おたがいさまセンターで語り人を勤めている西原千賀子さんが案内役をしてくださいました。除染が急ピッチで進められいる町内には暮らしている人はおらず、
西原さんが語る住民の皆さんの思
いとともに無機質な風景が印象に残っています。
いとともに無機質な風景が印象に残っています。
続いて楢葉町にある東京電力福島復興本社を訪ね、同社の石崎芳行代表に事故処理の現況や復興に向けた取り組みについて説明を受けました。住民不在の町の視察に次いでのことであったせいも手伝い、メンバーからは盛んに質疑が挙げられ、ひとつづつ応答いただきました。
いわき市内に入り海岸沿いに移動しながら、防潮堤建設に関わって顕在化した問題について話してくれたのは、サーフショップを経営する傍ら海岸を保全するボランティア活動を主催する小林裕一朗さんです。防潮に関する防災計画については、被災から時間を経るに従って見えてきたものがあるといい、利用者の要望が取り入れられにくい構造であるとのことでした。
いわき市内中之作港にほど近い清航館でお話をうかがったのは、中之作プロジェクトの豊田さんです。清航館は地域の力を活用しながら手作業でリノベーションしたという築200年の古民家で、地域に開放されており、この日も夕方に開催されるミニコンサートの準備が進められていました。
最後の訪問先は最初の訪問先であった富岡町から避難している方々が暮らす泉玉露応急仮設住宅です。先出の西原さんに加え、堀内則夫さんが対応してくださいました。生まれ育った家に戻ることができないことの無念さが、ひとつひとつの言葉からもその間からも伝わってくるお話でした。
帰路では各自が視察の内容を経験や知識に照らしながら、自分たちとのつながりを自問することとなりました。プロジェクトの最後の1年間の活動期間に、有効に繋げていきたいと考えています。(林)
【予告】創造的復興:視点構築論2・ 第4回
創造的復興:視点構築論2・ 第3回
創造的復興:視点構築論2・第3回講義は現代芸術家、ディレクター、ライターのユミソンさんをお招きして「私たちはこの風景に名前をつけました -アラフドアートアニュアルのこと-」というタイトルでお話を伺いました。
東日本大震災直後から動き出した「おやすみツリー」の活動や、福島市土湯温泉町で開催されたアートフェスティバル「アラフドアートアニュアル」の活動についてお話しされました。「アラフドアートアニュアル」を作り上げるにあたり、「フクシマ」という言葉の意味を丁寧に見ることが必要であり、地域の人も来場者も自分の身の回りのことを丁寧に、能動的に見る目を養うことができるアートフェスティバルでありたいと考えたことから、アートの役割や地域との関わり方について講義されました。(赤木)
【予告】創造的復興:視点構築論2・ 第3回
創造的復興:視点構築論2・第2回
創造的復興:視点構築論2・第2回講義は現代美術家の宮島達男さんをお招きして「Art in You」というタイトルでお話を伺いました。
思想家のタゴールの『「美」はそれを見る人間によって初めて実現化するもの』というお話から、
宮島さんが1995年よりスタートさせた「柿の木プロジェクト」の活動、そうぞう力(imaginationとcreativity)についてを講義していただきました。アートは、すべての人間のこころの中にもともと存在しているものであり、すべての人は「アーティスト」であり、同時に「見る人」でもある。「Art in You -アートはあなたの中にある-」というお話はとても印象的でした。(赤木)