現代GPを終えるにあたって
本取組の目的は、学生と市民のコラボレーションによる新しい学びの場を創出し、共に教え学
び合うことにより、学生自らが自己のコミュニケーション能力やキャリア意識を高めることで
す。このように説明するといかにも新しい取組のようにみえますが、実はそう単純な話ではあ
りません。人はいつも他者との関係の中でコミュニケーション能力やその他の能力を発達させる
ものですが、現代社会では大学が敢えてこうした取組をしなければならないほど人と人の関係
が希薄になっていて、こうした現実に大学教育はどう対峙するべきかという根源的な問いが存
在します。本取組では市民と学生をつなぐ場として「マイスター育成講座」を開設し、生物資
源と芸術を合わせて100名を超える学生が参加しました。担当した教職員には大きな負担に
なりましたが、学生が市民との交流によって大きく成長する確かな手応えを感じました。地域
の発展に大学の貢献が求められるのと同様、大学もまた有為な人材の育成に地域の協力を必要
としている証です。昨年度の中間報告書(CD-ROM版)とともに本報告書が活用され、教育
改善に努力している多くの方々の参考になれば幸いです。
平成20年3月
生物資源学類長 金井幸雄(現代GP実施責任者)
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ごあいさつ
「新しい課題対応型体験学習プログラムの開発」という現代GPプログラムにおいて、芸術
専門学部は、平成18年度と19年度の2年間にわたり、地域の市民を対象とした「美と芸術の
マイスター育成講座」を開講し、市民受講生に芸術専門学部の授業を、学生と共に学ぶ機会と
して提供してまいりました。この試みは、芸術(美術・デザイン)の理論と制作分野で自律的
市民を育成する教育プログラムであり、市民が大学で学んだ知識や技能を地域社会に還元する
ことを目標としています。学生は、「美と芸術のインターンシップ]という科目に登録し、市民
受講生への学習支援を行うことが課題として与えられます。市民と学生とが同じ教室で学ぶと
いう芸術専門学部にとって初めてのプログラムを実施することにより、市民と学生との交流が
生まれ、相互に啓発されるという教育成果を得ることが出来ました。地域における市民受講生
の一層の活躍や、学生の社会貢献意識の高まりが期待されます。
このプログラムに参加いただいた市民の皆様はじめ、本プログラムの実施を支えてくださっ
た学内外の関係者各位に衷心より感謝の意を表します。
平成20年3月
芸術専門学群長 西川 潔 |