《なかのひと

画面の中の人は、“過去”の自分。
私はその動作を文章として書き続ける。
男は寝転がる。男は立ち上がる。男は笑顔で手を振る・・・
画面の中の人は、書かれた通りに動き続ける。
まるで小説の登場人物のように。私は小説を書く中の人。
文章を書いているのは、“現在”の自分。
文字として起きる現象は過去を超え現在に追いつく。
いま私は文字を書いている。
湧き起こる感情を書き出している。書かれた文字が感情になる。
文字は“現在”の描写を通り過ぎる。この文字は“未来”。
文章の中の人は、“未来”の人。
この文字によって私は全てを発露する。

内海 士門
Shimon Utsumi

哲学/心理学/物理とオカルトが好き