Tsukubaからの空間メッセージ
実在する空間と不在の空間。
前者が、実在するゆえに特定の場所に拘束された空間であるのに対して、後者は不在ゆえに空想の中で自由に開花する。
そして、それらは互いに補完し合って「空間の歴史」を形成してきた。
現実の実体空間が、新たなる空間のイマジネーションを呼び起こし、その仮想空間のイメージが、次なる空間の現実を切り開く。
こうした関心から、われわれは現実の空間を設計するという行為と併行して、歴史上のさまざまな「未完の空間」にも強い関心を持ってきた。
こうした意識から、「未完のプロジェクト」だけで綴ったもうひとつの空間史をテーマに、協同して国内外でいくつかの展覧会を企画した。そして、それらを「未来都市の考古学」、あるいは“Spazio Ritrovato(再び甦る空間)”と名付けた。
*コンピュータ・グラフィックスを多用して、3次元空間の再現を試みたのも、そうしたヴァーチャルな空間史への意識からであった。
ここに展示するのは、現実空間の設計の軌跡とまさに時空を超えた仮想空間の記録である。